コラム
 
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■6月のコラム


時は足早に過ぎ去り、もう梅雨のジメジメとした時期の到来です。私のもっとも苦手とする季節ですが、みなさんはいかがでしょうか。さて、今月は飛蚊症という少し聞きなれないであろうテーマを取り上げました。特に自覚症状の無いまますごしてしまうことがあるこの飛蚊症ですが、是非頭の片隅に置いてもらいたい事項です。時間のあるときにじっくりと読んでみてください。何かのときにきっと役に立つことでしょう。

●目次


1. 飛蚊症とは・・・


  眼科の用語になるのですが、目の前に黒いものが飛ぶという意味で「飛蚊症」と呼ぶ病気があります。蚊が飛んでいるということから名前が付けられましたが、実際には水玉やハエ、黒いスス、糸くずなどさまざまな形に見えることがあります。さらに、透明なものから黒いものまでさまざまで、数も1個から数個、時には多数みられることもあります。

 この飛蚊症の原因は、眼球の硝子体とよばれる部分に濁りができたために起こります。硝子体は水晶体(眼のレンズ)の後方から網膜に達するまでの眼球の大部分を占めています。その中には生卵の白身のような透明でドロッとした物質が詰まっています。

  硝子体は本来透明なはずですが、これが何らかの原因により濁ると、その影が網膜にうつり目で見えるようになります。これが飛蚊症です。飛蚊症を起こす硝子体の濁りは、生まれつきのものと生後にできたものに分けられます。


 


2. 生まれつきの飛蚊症

  胎児のうちは硝子体の中に血管が走っていますが、この血管はふつう出産までにはなくなってしまいます。しかし、時にその血管の一部、あるいは血管周囲の組織の一部が生後も硝子体の中に濁りとして残ることがあります。

  このような生まれつきの濁りに関しては、視力さえ良ければ特に急いで治す必要もありませんし、時々検査をして異常が無ければ放置していても心配の無いものです。


3. 飛蚊症の自覚の仕方

●後部硝子体剥離の場合
後部硝子体剥離と呼ばれる飛蚊症の場合、突然起こるといわれています。いつも見え、形はゴミクズ、糸くず、雲、蚊、ハエなど形がハッキリしています。大きさは大型のものが多く、色の濃いのが特徴です。飛蚊症になる前後に、ピカピカ光るものが見えた場合には、この後部硝子体剥離が起こったと考えて間違いはないでしょう。

●生まれつきのもの、離水によるものの場合
生まれつきのものや、一般的に40代以降で起こる離水という現象によって起こる飛蚊症は、明るい日に白い壁を見て飛蚊症に気づくというふうに発生時期は不明瞭です。形も水玉のよう、泡か水滴のよう、かえるの卵のようなどとはっきりとした形ではなくて、白色ないし不透明な場合が多いようです。


4. 飛蚊症が引き起こす重大な病気

  特に近視(強度近視)の人、あるいは60歳前後の人で突然飛蚊症を自覚した場合にはなるべく早く当院など眼科へ訪ねてください。なぜなら、60代前半に好発する「後部硝子体剥離」が引き金になって、重大な病気が起こることがあるからです。

  それは、網膜裂孔(もうまくれっこう)という病気です。後部硝子体剥離の6〜19%の人に起こるといわれています。これは放置しておくと、さらに怖い網膜剥離という病気になります。


5. 眼科受診のすすめ

 飛蚊症を自覚したら眼科受診をし、精密検査を受け、放置しておいて良いものかどうか判断することが大事です。

  特に、先ほど述べた60歳前後で突然飛蚊症になった方は要注意です。網膜剥離を引き起こした場合、入院・手術しか治療方法がありません。しかし、網膜裂孔の時期に発見できると、外来でおこなえる治療法があり、網膜剥離を防ぐことができます。

  したがって、飛蚊症を自覚したらば早めに当院などの眼科受診をし、十分に検査をすることが必要といえます。何事もそうですが、とくに飛蚊症の場合は早め早めにチェックしておくことが何よりも重要でしょう。
 
 
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