コラム
 
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■12月のコラム


月日が経つのはいつも早いと感じますが、年末を迎えるといっそうそう感じるのは不思議なものです。師走という通り、あっという間に新年を迎えることになるのでしょう。さて、今月のコラムは緑内障についてです。耳には聞いたことがあるけど、詳しくは知らないという方が多いのではないでしょうか。この病気も早期発見が第一なので、このコラムを是非読んでください。そして疑わしいなと思ったら、遠慮なくご相談しに来てください。

●目次


1. 緑内障とは・・・

  緑内障は古くから「青ぞこひ」とも言われ、白内障と並んで目の病気の中で多いものの一つです。緑内障は進行すると最終的には視力が損なわれ、しかもそれが回復不能の状態になってしまう困った病気です。これは、視神経---網膜で感じた外界のイメージを脳へ伝える神経---が緑内障によって冒される病気であるためです。
  どんな原因にせよ、一度視神経が障害を受け視力を失うと、ほとんどの場合もう元に戻りません。緑内障では、眼圧(眼の内圧)が異常に高くなったために、視神経の働きや循環が障害され、視神経繊維の消耗、脱落が起こります。眼圧の上昇が急激におこれば、いっぺんに視力が悪くなることもありますし、徐々に始まった場合は最初のうちは視力は変わらず物の見える範囲の変化(視野の変化)として現れてきます。
  以上をまとめると、緑内障は「何らかの原因で眼圧が上昇し、視神経が障害される病気」と言えますね。


2. なぜ眼圧が高くなるのか

  緑内障と診断する際、眼圧の高いということが重要な決め手となりますが、この眼圧のことについて少し説明いたしましょう。

  眼圧の高さですが、いったいどのように決まるのでしょう。目に触ると一定の弾力性があるのがわかりますが、これは眼の中で絶えず透明な液体が循環して、眼がぺしゃんこになったり(このことを低眼圧といいます)、反対に固すぎることの無いように(高眼圧)調節しているからです。この役割を果たす透明な液体というのが、房水です。この房水は、毛様体というところで作られ、角膜(一般に言う黒目)と虹彩(茶目)の境(これを隅角といいます)にある排水路から眼の外へ流れ出ます。

  このとき、角膜と虹彩の境目はわずかな隙間しかないため、色々な原因でこの排水路が閉鎖されることがあります。これを閉塞隅角と呼びます。また、反対に開放隅角と呼ばれるように、排水路自体の機能が悪いと閉鎖はされていなくても、房水が流出しにくくなることがあります。このような房水の流れに滞りが起こり、眼圧が高くなるのです。

緑内障のタイプ

緑内障には眼圧が上昇する原因の違いや、発病年齢などによっていくつかの種類がありますが、大きくは次の3つにまとめられます。

(1) 閉塞隅角緑内障(原発緑内障)
房水の流出口である隅角が虹彩の根元で閉鎖されるタイプ

(2) 開放隅角緑内障(続発緑内障)
隅角が十分にあいているのに、排出路の中で通過障害の起こるタイプ

(3) 先天緑内障
隅角の発達が不完全なために眼圧が上昇する


3. 緑内障の治療方法

  さて、それでは緑内障の治療はどのようなものがあるのでしょうか。少し簡単に見ていきましょう。

目薬や飲み薬
  眼圧が高くて視神経の影響が心配されるとき、何らかの方法で眼圧を下げなければなりませんが、一番良く使われるのが目薬や飲み薬による方法です。目薬にはさまざまな種類や濃さがあり、目の状態によって使い分けます。場合によっては飲み薬との併用もあります。

手術
  先ほど説明した閉塞隅角緑内障(虹彩の根元が房水の排水口を塞いでしまう)では、最終的に手術が必要です。薬によって眼圧は下がりますが、隅角の閉塞は治らないためです。また、開放隅角緑内障の場合は、排出口の明らかな塞がりはないので薬による治療を優先させ、どうしても効果のない場合のみ手術をします。先天性緑内障の場合も、手術が優先になります。

レーザー光線
  最近はレーザー光線を使っての治療もできるようになってきました。従来の手術のように眼球に切開を加えないで治療を行うことができるので、切開手術に伴う出血を初めとするさまざまな合併症を避けることができるので大変有難い治療方法と言えます。しかし、すべての緑内障でレーザー治療を行うことはできないので注意が必要です。


4. 緑内障の実際

  緑内障と診断された場合、さまざまな治療が行われますが、ほとんどそのどの場合も視神経の障害をそれ以上進行させないようにするのが目的となります。大変残念なことですが、一度損なわれた視力や視野欠損は(急性緑内障で一時的に悪化している場合は別として)眼圧が下がってもほとんど治すことはできません。

  ここで強調したいことは、早期発見・早期治療が何よりも大事であるということです。緑内障は生涯にわたって管理が必要です。緑内障の治療の第一歩は、現在の緑内障の状態を完全に把握することです。そのためには間隔を詰めた通院や、時には入院も必要とする場合もありますが、それは完全に把握するためなのです。そして治療を開始し、治療効果がはっきりするまでしばしば通院することが大事です。状態が安定してくれば医師の指示により通院間隔をのばしていけばよいでしょう。


5. 大切な眼科受診

 一般的に緑内障は中高年から起きてくる病気であり、成人病の一種とも考えられます。そのため、定期的に成人病の健康診断を受け、体の検査以外に眼圧や眼底の検査をあわせて行っていれば、かなり早期発見に役立つはずです。また、実際に人間ドックなどの検査項目にはほとんどと言っていいほど眼圧検査と眼底検査は入っていますから、人間ドックの結果によりチェックすることができるでしょう。また、ある程度の年齢になれば老眼鏡が必要となってきますが、そのときには是非眼底・眼圧検査を受けられることをお勧めします。

  さらに、血縁者(身内)に緑内障の人がいる方、糖尿病、強度近視がある方は普通の人より緑内障になりやすいと言われています。また、いろいろな病気でステロイドホルモンを使用している人も、緑内障を起こしやすいので、いずれも眼科医の定期検診を受けるようにしてください。
 
 
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